“クィディッチ”は、「ハリー・ポッター」に登場する魔法界の人気スポーツ。そのワールドカップが2014年4月12日から、アルゼンチンのパタゴニア砂漠でマグルに見えないように(笑)開催されており、J.K.ローリングさんが試合の記事をポッターモアの中で連日掲載しています。
この記事は『日刊予言者新聞』クィディッチ特派員のジニー・ポッター(旧姓ウィーズリー)が書いているという設定になっており、同新聞のコーナーで読むことができます。
17日現在、「開会式」と「ノルウェー対コートジボワール」戦の結果が掲載。今年の開会式は各チームのマスコットをテーマにしたものだったため、フィジーとノルウェー(鮫人間と巨大湖ヘビ)のマスコットが、魔法で作られた湖の中で大暴れ。文字通り血の海になった所にブラジルやナイジェリア、ハイチのマスコット(赤毛ドワーフとヴァンパイア、亡者)なども加わり大混乱に。300人以上の観衆がショックや骨折・咬傷で癒者の手当てを受けました。
なお日本のマスコットの記述はなく、開会式では大人しかった模様です(笑)。
ポッターモアはJ.K.ローリングさんがソニー株式会社とのパートナーシップにより、2011年に立ち上げたウェブサイト。無料登録するだけで、組分けや杖の決闘、魔法薬の調合が楽しめるほか、JKRがこのサイトだけに書いた裏話を読むことができます。
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4月12日
悲惨な開会式、クィディッチ・ワールドカップの警備に疑問
日刊予言者新聞クィディッチ特派員、ジニー・ポッター パタゴニアの砂漠よりレポート。
第427回クィディッチ・ワールドカップは、クアッフル1つ投げられることも、スニッチ1 つ捕えられることもないうちから、既に論争の渦に巻き込まれている。混乱を収拾するため、魔法動物学者たちが砂漠に集結し、癒者たちはショックや骨折やかみ傷に見舞われた観客300人以上の手当にあたった。アルゼンチンの魔法評議会は、チームマスコットを主役とした開会式を行うという彼らの決断が、愚かで無謀なものだったのではないかという非難を受け、たじたじとなっている。
開会式に先立ち、砂漠にはフィジーチームのダクワカ (サメとヒトの2つの姿を持つ、変身する生き物)の宿泊施設として、みごとな観賞用の湖が造られていた。主催者側は、最初の週の試合に出場する他チームのマスコットが「多様性に満ちた魔法動物世界の大博覧会」と銘打たれたマスゲームに参加すると発表した。
開会式は湖の上でフォーメーションを組んで踊るコートジボワールの川の精霊たちとともに、穏やかに始まった。しかしフィジーとノルウェーのマスコットが解き放たれたとき、今回の惨事は幕を開けたのである。
アルゼンチンの魔法評議会会長を務めるバレンティーナ・バスケスは、次のようにコメントしている。
「私たちはフィジーのダクワカを迎える準備は整っていましたが、ノルウェー代表団の発表には不意をつかれました。彼らは湖を住処とする大蛇、セルマのためにも湖にスペースを作ってほしいと言ったのです。私たちはノルウェー代表団がいつもどおりトロールの曲芸団を連れてくるものとばかり思っていました」
「私たちが知る限り、ダクワカとセルマが共存可能かどうかについての研究が行われた例はありません。従って、魔法評議会は両者を近接した場所に置いた結果生じた不幸なできごとに対して責任を負うことはできません」
日刊予言者新聞の独占取材に応じた主任顧問魔法動物学者のロルフ・スキャマンダーは、こう反論する。
「ダクワカは温暖な海を住処とし、セルマは氷のように冷たい淡水の湖に暮らしている。前者は魚から人間に姿を変える生き物で、後者は人間の肉や魚をむさぼり食う蛇だ。両者を微温の汽水で満たされた狭い空間に詰め込んだら、たちまち流血の惨事が生じることくらい、ビリーウィグ並みの脳の持ち主でない限り見当がつくはずだ」
この2種類の怪物たちが、巨大な水晶のシュートから魔法で造られた湖に放たれたときに起こったのは、正に流血の惨事だった。フィジーとノルウェーの調教師たちは、それぞれ自分たちのマスコットを大人しくさせようと、荒れ狂う水の中に飛び込んだ。だがブラジルのクルピラ (森に住む赤毛の小人たち。足が後ろ向きに付いていて、仲間の生き物が人間の脅威にさらされていると感じると、彼らを守る)が、その努力の大いなる妨げとなった。クルピラたちは、どうやら調教師たちがダクワカやセルマに危害を加えようとしていると思い込んだようで、彼らを攻撃した。
スタジアムがパニックに陥り、人からも動物からも血が流れ放題となった段階で、ナイジェリアのササボンサム (細長い脚をした吸血動物)が理性を失ったのも無理のないことだったかも知れない。彼らが観客の間に大混乱を引き起こしている間に、ハイチチームがマスコットとして「亡者」 を連れてきているといううわさが真実であったことも証明された。観客は、つまずいた者は誰であろうと捕まえてむさぼり食おうとする「亡者」がスタジアム内を縦横無尽に動き回る中、先を争って逃げ出そうとした。
マスコットのサイズと性質に対する規制は、ICWQCの最上層部で長いこと論議の元となっていた。マスコットを“乳牛より小さな草食動物に限り、火を吐くものは禁ずる”という案は、995年に圧倒的多数により却下された。世界中のクィディッチサポーターは、自分たちがワールドカップの伝統であり、彩りであるとみなすものに対する干渉には、いかなるものであろうと反対してきた。
だが多くの人々は、最も恐ろしげなマスコットを連れてこようとするチーム間の競争が、手に負えないレベルに達していると考えている。ノルウェーチームの監督であるアルヌルフ・モーは、セルマを連れてきた自らの判断を弁護し、セルマは「ノルウェーの選手たちの鋼の意志と猛々しさ」の象徴であり、先にかみついたのはダクワカだと主張した。
トーナメント開幕の週末に向けて、記録的な数の観客が10,000の移動キーを利用してパタゴニア砂漠のど真ん中に輸送された。アルゼンチンの魔法評議会は、その輸送に関する手配の隙のなさで多くの人々から賞賛を受けているが、試合開始のホイッスルが吹かれる前に記録的な数のけが人が出たことは、間違いなく主催者の恥となるだろう。
トーナメントの皮切りとなるノルウェー対コートジボワール戦は、明日行われる。